世界に7種類いる熊のうちの2種が日本国内で生息しています。
日本国内で生息しているのはヒグマとツキノワグマです。
では、ヒグマとツキノワグマの違いはなんでしょうか?
今回はヒグマとツキノワグマの体格や習性などの違いについて調べてみました。
Contents
ヒグマとツキノワグマの違いとは
ヒグマとツキノワグマの違いを表で比較してみましょう。
種類 | ヒグマ(Ursus arctos) | ツキノワグマ(Ursus thibetanus) |
---|---|---|
生息地 | 北海道 | 本州・四国(九州の種は絶滅) |
毛 | 全身黒・およそ10%の個体に白毛がみられる場合がある。 | 90%以上の個体の頚部と前胸に白毛がみられる。無い場合もある。 |
冬眠時期 | 11月下旬から12月に穴入り、4月下旬に穴出 | 11月下旬から12月に穴入り、4月下旬に穴出 |
出産期 | 1月から2月 | 1月から2月 |
最大級の体長と体重 | 雄2.4m 400kg 雌1.9m 160kg | 雄1.5m 120kg 雌1.3m 90kg |
食性 | 雑食 | 雑食 |
木登り | 若い個体のみに見られる | 老獣でも登る |
泳ぎ | 得意 | 得意 |
ヒグマとツキノワグマの大きな違いはその生息地です。
体格や体毛の違いもあるものの、食性や習性には多くの共通点がみられます。
ヒグマは日本最大級の野生動物!
ヒグマは北海道に生息する日本最大級の野生動物です。
ヒグマはツキノワグマよりも大型のものが多く、2015年には400kgを越える大型の雄が捕獲された事もあります。
北海道には13~20万年前に渡来したと言われています。
3万年前ほどまでは、本州でも生息していましたが、温暖化などの影響により絶滅しました。
現在北海道の全域に1900頭から2300頭のヒグマが生息しています。
同じ亜種は、北海道の他にユーラシア大陸やアメリカ大陸など広く分布しています。
日本のヒグマはエゾヒグマと呼ばれます。
毛色は主に黒色ですが、褐色のものもいます。
ホッキョクグマと近縁であるエゾヒグマは、白毛の個体も観察されています。
北海道のヒグマが人を襲うことは稀であり、一説では1000分の1頭しか襲って来ないと記述されています。
ヒグマは雑食で、鮭やマス、シカ、イノシシ、木の実、果実など、栄養のあるものはなんでも食べます。
山菜や植物の若葉、ヤマブドウなども食べます。
ミズナラなどドングリも食べますが、ツキノワグマに比べるブナやナラの実への依存度は高くありません。
本来ヒグマは死肉を食べる事はあっても狩猟はしませんでした。
しかし、1990年代にシカの大量捕獲が行われ、シカの死骸を多く食べる機会があったヒグマは、近年ではシカを襲って食べる事があります。
どんぐりが好物!ツキノワグマの生態
ツキノワグマは本州と四国に広く分布する熊です。
胸にV字型の白い「月輪」のような模様があります。
日本には30~50万年前に渡来したと考えられています。
ツキノワグマは、イラン、アフガニスタン、韓国、台湾など広く分布しています。
日本にいるツキノワグマはニホンツキノワグマとして遺伝的に独自の分化をしています。
本州では森林開発や戦後に拡大造林(かくだいぞうりん:自然の森林を伐採した後、スギやヒノキなどの人工林を育てること)が大規模で行われました。
これがクマの生息地を分断したために下北半島、九州、紀伊半島、東中国地方、西中国地方、四国の地域の熊は絶滅が心配されています。
雑食として知られる熊ですが、ツキノワグマは主に植物を主食としています。
ツキノワグマは落葉広葉樹の森に生息していて、特にブナ類やナラ類の実であるどんぐりは、脂質、タンパク質、炭水化物を多く含み、冬眠前後に好んで食べます。
これまでの調査でツキノワグマが食べたことのある植物はなんと90種にも及ぶそうです。
その他にも多岐に渡る果実や木の実、新芽やイチゴの仲間やアリ、ハチまでも食べます。
栄養のあるものはなんでも食べるツキノワグマは季節により食べるものを変えます。
熊遭遇のニュースが多いのはなぜ?
ヒグマもツキノワグマも縄張りを持たずに広範囲に渡って行動します。
争いごとを避けるために、熊は熊同士でも遭遇しない様に生活をしています。
しかし、近年は熊遭遇のニュースが多く、負傷者の数も増えていますね。
中には人を食べる事件も・・・。
昔から、熊は山中の食物が不足する夏季に農作物目当てに里に降りてくるとこがあります。
また、冬眠前である秋に、食料である木の実が不作であったりすると里に降りてくる傾向があります。
特にツキノワグマに多くみられる「大量出没」は、食料不足の夏季を過ぎても熊が多く出没することです。
大量出没は
- 食料不足
- 山間地の過疎化により、人の気配が少ないために熊が近寄りやすい
- 人間と熊の生息地帯の隣接化
などが理由だと考えられています。
熊は氷河期から日本の大地に人と共生をしています。
これからも共生できる道を模索する必要がありますね!
熊に出会った時の対処法
熊の生息地帯は豊な自然が残る魅力的な場所ですよね。
キャンプや登山、山菜採りなどの人気スポットでもあります。
ヒグマもツキノワグマも、主に朝と夜に徘徊しますが、夜行性ではないので昼間に遭遇する可能性もあります。
出没時間や出没地域についてはこちらの記事で詳しく解説してます。
熊の出没時間と出没地域は?危険を回避するにはどうすればいい?
まずは出会わないように対策を!
熊の生息地帯を散策するときは、周囲によく注意を払いながらゆっくりと進みましょう。
熊は周囲に音の変化があると、人間と出会わないように自ら退く傾向があります。
そのため、常時音が出るラジオや定期的に同じ音を鳴らす鈴よりも、時々声をあげたり笛を鳴らす方が効果的です。
唐辛子由来の熊撃退スプレーも販売されています。
熊撃退スプレーは森の曲がり角などで出会ってしまったり、急な接触にも有効です。
また、鉈は非常時に武器として実用性があります。
熊の生息地に出掛けるときは鉈を携帯するといいでしょう。
熊に出会ってしまったら?
何事にもパニックは厳禁です。
熊に出会ってしまった時は、まず落ち着きを取り戻しましょう。
熊と自分の位置や熊の状態を確認しましょう。
熊がこちらに気付いていない時
熊がこちらに気付いていないときは、気付かれないようにその場から離れましょう。
この時に動揺して走ったり、音を立ててしまうと熊に気付かれてしまいます。
ゆっくり静かに立ち去りましょう。
小熊はとてもかわいいですよね。
しかし、小熊の近くには必ず母熊がいます。
母熊は小熊を守るために攻撃してくるので、小熊には近づくのは非常に危険です。
小熊を見つけたら直ちにその場所から立ち退きましょう。
熊がこちらに気付いている時
熊が明らかにこちらに気付いているときは、まずその距離を目視で計ります。
熊との距離が50m以上あり、ゆっくりと近づいてくる時、熊は人間だと知らずに来ている可能性があります。
人間だということを知らせるために、高い所に登り、穏やかに声がけをしましょう。
熊が立ち止まったら、熊から目を離さずにゆっくり立ち退きます。
熊は早く動くものに反応します。
そして、熊は時速60kmで走ることができます。
走って逃げると、追ってくる可能性があるので、ゆっくり動きましょう。
小熊がいたり、獲物の補食中であると、熊はその場から動きません。
また、その場にずっと立ち止まっていると敵対行動と受け取られる可能性があります。
熊から目を離さずに、その場から立ち退きましょう。
熊が鼻をヒクヒク動かすのは、こちらを確認している行動です。
人間との遭遇を嫌がる熊ですが、稀に興味本位、または補食目的で近づいてくる可能性があります。
近くの屋内や車があればその中に退避しましょう。
二人以上いるときはまとまって行動しましょう。
曲がり角からの出会い頭などでは、突発的な遭遇で熊との距離が20m以内の場合があります。
この場合はゆっくり両腕を大きく振り、穏やかに話しかけながら最寄りの障害物を熊と自分の間になるように移動しましょう。
ほとんどの場合、熊が全速力で逃げていきます。
大声でわめいたり、突発的に走って逃げるのは驚いている熊をおびえさせてしまいます。
ストレスが重なって防衛的な攻撃をしてくる可能性があるので、静かに行動しましょう。
熊がこちらを確認しながら距離を縮めて近づいてきたり、突発的な遭遇でも逃げずに威嚇して来た場合でも、落ち着いて現状を確認することが大事です。
熊の威嚇突進には、ブラフチャージとよばれる威嚇突進行動があります。
ブラフチャージでは相手に突進しても途中で止まり、激しく地面を叩いた後に後退することが多くあります。
熊との間に立木などの障害物を置く様にゆっくり後退しましょう。
しかし、突進している時点ではブラフチャージか本当の突進かを見分ける事ができません。
熊撃退スプレーは10m近く噴射されますが、的確に撃退するには3~4mからが有効です。
熊が十分に接近してから風向きを確認して、一気に空になるまで噴射しましょう。
対人間の催涙スプレーは熊には効果がなく、かえって熊を怒らせてしまうので、熊撃退スプレーを使用しましょう!
熊撃退スプレーが無い場合は、うつぶせになって首を後ろ手で守り、頭と腹を守ります。
死んだフリは効果無し!
よく熊に出会ったら死んだフリをするのが良い、と聞きますよね。
死んだフリをすれば熊は襲わないというのは現在では誤りだと言われています。
こちらが強気にでると熊が逃げる事例が多くあります。
また、死んだフリをした人間に興味本位で近寄ってくる事があるので得策ではありません。
まとめ
ヒグマとツキノワグマの主な違いには生息地、サイズ、毛色などがあります。
生息地帯にツキノワグマは温暖地を好み、ヒグマは冷涼地を好むという違いはあるものの、生態系はとても似ています。
熊遭遇を避けられるのが一番ですが、遭遇してしまったときは落ち着いて対処しましょう。
パニックで急に大声を出したり、走ったりするのは禁物です。
鉈は熊対策以外にもキャンプなどではとても有用ですよ!
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